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NFTが再販売された際のクリエイターへの還元機能についての紹介

こんにちは、ブロックチェーンチームのエンジニア id:charines です。

この記事ではNFTにおける「ロイヤルティ」と呼ばれる機能について紹介します。

ロイヤルティとは?

クリエイターがアート作品などをNFT化して販売された後、そのNFTが購入者によってマーケットプレイスに再度出品されることがあります。 しかし従来は再販売でいくら高値がついてもクリエイターが新たに収益を得ることはできませんでした。

そこでOpenSeaRaribleなどの一部のマーケットプレイスでは、クリエイターの需要に応えて独自にロイヤルティの仕組みを導入し、再販売時にクリエイターに取引額の一部が還元されるロイヤルティの機能を実装しています。

しかしこれらの機能はそれぞれのマーケットプレイス独自の機能であるため、NFTが異なるマーケットプレイスで再販売された際は依然としてクリエイターは還元を受けることができませんでした。そこで、ロイヤルティの仕組みを共通化するための仕様がEIP-2981: NFT Royalty Standardとして提案されました。

EIP-2981に対応したマーケットプレイスはまだ少ないですが、2021年7月にステータスがFinalへと移行したこともあって、今後徐々に増えていくことが期待できます。

ブロックチェーンチームでの対応

現在ブロックチェーンチームでは、NFTの導入を支援するためのサービスであるユニマSaaSを開発しています。

ユニマSaaSで作成可能なNFTではロイヤルティの還元率を設定できるようになっており、EIP-2981に対応したマーケットプレイスでの再販売では、還元率に基づいたロイヤルティを受け取ることが可能です。 さらにRarible独自のロイヤルティの仕組みにも対応し、ユニマSaaSで発行したNFTがRaribleで再販売された際にも同様の還元率でロイヤルティを受けることができます。

ちなみにOpenSeaの還元の仕組みはオンチェーンではないため、ユニマSaaSでの設定に関係なくデプロイ後にOpenSeaから直接設定可能です。

設定例

ユニマSaaSでコントラクト作成時にロイヤルティを設定すると、ユニマではこのように 二次流通でのクリエイターへの還元率 という項目が表示されます。 ユニマでの販売自体は一次販売なので影響はありません。

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ユニマでの還元率の表記

またこのNFTをRaribleで表示すると ○% royalties という表記を確認することができます。

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Raribleでの還元率の表記

まとめ

NFTが再販売された際にクリエイターが還元を受けられるロイヤルティの仕組みと、その標準であるEIP-2981について紹介しました。

EIP-2981は比較的新しい標準なので、まだ対応しているマーケットプレイスは多くないですが、予めEIP-2981に対応しているコントラクトをデプロイしておくことで、将来的に対応マーケットプレイスが増えたときに再販売時のロイヤルティを受けられるかもしれません。