Mobile Factory Tech Blog

技術好きな方へ!モバイルファクトリーのエンジニアたちが楽しい技術話をお届けします!

メンター成長のためのふりかえり会

こんにちは。id:kfly8です。7/29(月) にGotanda.EM #3でLTをしてきました。 その内容について、書きます。

speakerdeck.com

メンターのふりかえり会について

弊社の場合、新人の育成のために新人ごとにメンターをつけています。10人くらい新人がいるので、メンターもおおよそ10人います。

メンターをやるにあたり、初めてメンターをするのであれば、どうメンターをすれば良いか戸惑うと思います。 また、人によってやり方がバラバラであるよりも、組織としてベースラインを担保し年を重ねるごとに強くなれるのが理想だと思います。

ではどうするかですが、まずメンターが知識0からはじめるのは困りますし、組織としても期待はあるのでそれは始めに詰め込んでいます。例えば、期待を伝える場や1on1のワークショップなど行ったり、メンターを何回かやっている人はメンターのお仕事に関わるおすすめの本を薦めたりしています。

ただ、頭でわかっても、実践が難しいといった話をよく聞きます。

そんな問題を解決するために、月1でメンター同士で集まって、ふりかえり会をしています。目的は、メンターの内省とメンター同士の関係作りです。メンター自身が深く考え・言語化するのと同時に、同じ目線で話す仲間でサポートしあえる関係ができるといいなと思っています。

具体的には、YWTを使っています。YWTは、Y(やったこと)、W(わかったこと)、T(つぎにやること)を言語化する、ふりかえりのためのフレームワークのひとつです。

進め方は、個人ワークでYWTを書き、内容をシェアする形です。駆け足ですが、1時間で行なっています。

まず、「Y:やったこと」では、1ヶ月の出来事を思い出してもらいます。これを挟まずに「W:わかったこと」を始めてしまうと印象に残った出来事などに偏ってしまい、深い洞察がしにくいです。

# Y: やったこと<個人ワーク>

メンターとして、今日まで何をしましたか?どんなことがありましたか?

いつどんな状況で、どんな言葉を使いましたか?
ヒント1:まずは思いつくままに書いてみましょう!
ヒント2:1on1の議事録を見返してみましょう。
ヒント3:メンティーとどんなやりとりをしましたか?
うまく伝わった、なかなか伝わらなかった、そんなことはありませんか?

次に「W:わかったこと」は、やったことや出来事に対する価値づけを行います。書き出すことを重視して、まずは簡単に「よかった」「わるかった」の価値づけでラベリングしてもらい、そこからどうよかったのか、わるかったのか詳細を言語化してもらいます。 またシェアは、簡潔に話すために「XXXがわかった。YYYという出来事があったから」というようなフォーマットで、一人一つずつ話してもらっています。

このワークがこのふりかえり会の肝です。

# W: わかったこと<個人ワーク、シェア>

やったことから、どんなことがわかりましたか?

いつどんなふるまいが良かったですか?まずかったですか?
ヒント1:まずは良し悪しを見てみましょう!
ヒント2:つまり、一言で言うなら、どういうことでしょうか?(教訓化)

そして、最後に「つぎにやること」です。わかったことが本当に良さそうかどうかの検証や、他の人の話を聞き、試してみたいことなどを書きます。

# T: つぎにやること<個人ワーク、シェア>

わかったことを踏まえ、あなたは次にどんな行動をしますか?

ヒント1:できるだけ具体的にしてみましょう!
ヒント2:わかったことが良さそうか、どうやったら確認できそうですか?

ふりかえってみた実際の内容

実際にふりかえり会をやると、色々な気づきが出てきて面白いです!

例:TIPS

例えば、事前にメンティーに質問回答してもらって1on1するといったTips的な話などは、出やすい話です。

事前に、Google Docsで質問回答してもらい、1on1の時は画面に回答を映しながら議事録を取るスタイルが良い。
メンター、メンティーで意識を揃えながら進行できて、かつ、回答の準備ができる。
シリコンバレー式のテンプレが便利

例:コミュニケーション

他には、コミュニケーションの話が出ます。例えば、メンターが「わかった?」と聞いても、「わかった」と言わざる得なかったりすると思います。あんまり意味のない質問になっちゃうんですよね。どうすればいいか?というと、メンターからは「ケースを提示して、どうするのか説明してもらう。」「わかったという言葉は信じて、話を進めて、もしわからなければつまづくだろう」といった意見が出てきました。似たような質問だと、「大丈夫?」「困ったことある?」なんていうのも同調圧力が生まれがちといった話がありました。

運営として気をつけていること

ふりかえり会の運営、ファシリテーションをしていて気をつけていることがいくつかあります。

  1. HOWよりWHY
  2. 問題解決もほどほどに
  3. 単発より継続

1. HOWよりWHY

TIPSは、目先の問題にすぐ適用出来そうで、話の食いつきがいいんですが、具体的な方法は相手次第、状況次第なところがあるので、意図・意義・理由の方の言語化をしてもらうように誘導しています。その方がポータビリティがあると思っています。

2. 問題解決もほどほどに

隣に困っている人がいればなんとかしてあげたいといった気持ちもあり、問題解決の話題も盛り上がったりするのですが、問題解決もほどほどにしています。現実的な理由として、10人弱のメンバーで一つの問題解決をするのは時間効率が悪いと思っています。また声が大きい意見に左右されるのも避けたいです。

そもそも、ふりかえり会はふりかえりの時間としています。メンター自身がどうした方がいいか自分で考えることが、内省につながると思います。 1ヶ月、メンターとして働き、どんな気づきがあったのか、どんな感情になったのか、など言語化できればと思っています。

3. 単発より継続

まず、現実的な話で言えば、メンター業務をやるような人は忙しい傾向があると思っています。なので準備負担なく、ふりかえり会の時間さえ集中すれば良い形にしています。また参加して、直接コミュニケーションしたからこそ得られたものがあるといいと思っています。参加者からするとそういった形の方が継続のモチベーションが湧くのかなと思っています。

また、そもそも育成って地味だと思っています。人は簡単に変わらないと思います。視座・ものの見方の変容ならなおさらです。 運営として、メリハリをつけるためにすごい本などで影響を受けることはあると思います。必要だと思っています。 ですが、頭だけでなく身につけるためには、地道ですがふりかえりを実施し、経験学習サイクルを回す仕組みを作ることが確実なんじゃないかと思っています。

まとめ

  • メンター成長のために、メンター同士のYWTによるふりかえり会をしている。
  • ふりかえり会の目的は、ふりかえりとメンター同士の関係作り。
  • ふりかえりのために、HOW、問題解決の話はほどほどにする。意図・意義・理由を自分の言葉にすると良い。
  • メンターの育成は長期戦。経験学習サイクルを回す仕組みを作る。

最後になりますが、運営のトレタのikegoriさんはじめ、準備などもろもろありがとうございました! 今回、自分も受付などを急遽*1やっていたのですが、おかげさまで楽しく参加させてもらいました!

*1:運営のコアメンバーが急遽体調不良という事件