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元スクラムマスターが初めてプロダクトオーナーをやってみた

こんにちは。モバイルファクトリーでエンジニアをしているまえけんです。

自分の居るチームではスクラムで開発をしていて、自分はスクラムマスターとしてチーム運用をしていました。 が、プロダクトオーナーの退職と組織編成によるチーム人数の増加などにより、スクラムマスターからプロダクトオーナーへ帽子を被り直すことになりました。

そこで、初めてプロダクトオーナーをやってみて何があったのか、気づいたこと、などをまとめようと思います。

突然の別れと新チーム

自分がスクラムマスターをしていた頃、チームは全部で5人居ました。しかし1ヶ月の間に、

  • 新プロジェクトの立ち上げ
  • プロダクトオーナーの退職
  • 組織編成に伴いチームメンバーが5人から9人に増加

という怒涛の変化がありました。特に当時のプロダクトオーナーとは新プロジェクトについて立ち上げから協力して計画を建てていたので、その半ばでの退職ということで突然の別れとなってしましました。

人数も増え、チームとしてはほぼ新しくなり、プロダクトオーナーも不在という状況で、調整をした結果自分がプロダクトオーナーの役割を担うことになりました。

プロダクトオーナーを実践するのは初めてなので、まず何から手を付けるべきなのか迷う状況になりました。

プロダクトオーナーの役割

スクラムについて迷ったら何はともあれスクラムガイドを見直すのが良いと思うので、スクラムマスターとプロダクトオーナーの役割の定義について見てみました

スクラムマスターについて

スクラムマスターは、スクラムガイドで定義されたスクラムを確⽴させることの結果に責任を持つ。スクラムマスターは、スクラムチームと組織において、スクラムの理論とプラクティスを全員に理解してもらえるよう⽀援することで、その責任を果たす。

プロダクトオーナーについて

プロダクトオーナーは、スクラムチームから⽣み出されるプロダクトの価値を最⼤化することの結果に責任を持つ。

スクラムマスターは「スクラムの確立」に責任を持ち、プロダクトオーナーは「プロダクトの価値を最大化すること」に責任を持つとあります。言い換えると、スクラムマスターは「チームを観察する人」、プロダクトオーナーは「(開発している)プロダクトを観察する人」なのかなと思います。スクラムマスターはチームを取り巻く問題を見つけて解決するとしたら、プロダクトオーナーはプロダクトを取り巻く問題を見つけて解決(判断)する人だと思いました

また、元スクラムマスターとして、もし今の状況の時にプロダクトオーナーにやって欲しい事はなんだろうということも考えてみました。ここは尊敬するマスター・センセイ(アジャイルサムライ)の助言も参考にしてみました

プロジェクトが新しく始まった時点では、その成功について思い描く姿は人によって大きく異なるものだ。(中略) ここでの問題は、プロジェクトの開始時点で関係者の認識が揃ってないことじゃない(むしろそれは自然なことだ)。問題は、関係者全員でプロジェクトについて話し合うよりも前にプロジェクトを始めてしまうことにある。 チームメンバーが誰も居ないところで合意したことを前提にしているから、プロジェクトがだめになるんだ。

新メンバーが入ってきたという事もあり、プロダクトオーナーとして最初にすべきは「メンバーを集めて認識を揃える」事だと思い、まずインセプションデッキの整備から始めました。

プロダクトオーナーの単一障害点

インセプションデッキも概ね完成してチームとの合意も取れてきて、第1スプリントを始めるぞというタイミングで自分が新型コロナウイルスに罹ってしまい、約1週間チームから離れる事態になりました。

プロダクトオーナーとして判断をしたり、特に新メンバーからの質問に答えるのが途絶えたことで少なからずチーム内で混乱があったみたいです。プロダクトオーナーは単一障害点になりやすいという事を聞いたことがありますが、第1スプリントからそれを実感する事になりました。

認識を揃える難しさ

数スプリントが経過した頃、レトロスペクティブの場で「作っているプロダクトの最終形が想像できない」「今作っているものがどうなるのか不明」というのが開発メンバーから意見が出てきました。個人的な視点ではすでにインセプションデッキも作ってチームと合意もとっていたので、こういう事が出てくるのは驚きでした。

深堀りしてみると、インセプションデッキによってたしかにプロダクトの「Why(なぜ作るのか)」「How(どうやって作るのか)」は可視化できましたが、「What(何を作るのか)」がまだ可視化出来てないと気づきました。特に このプロダクトの楽しさはどこか というのが伝わってない事がわかりました。自分の頭の中にプロダクトの最終形が存在していても、それを示す事も重要である事に気づきました。

まとめ

プロダクトオーナーに就任してまだ数スプリントだけですが、ここまでで大事だと感じた事をまとめます。

プロダクトオーナーだけで抱え込まない

プロダクトオーナーは単一障害点になりやすい存在です。どうしてもプロダクトオーナーじゃないと判断できない、答えられない事は存在すると思いますが、それ以外については例えばスクラムマスターと協同出来ることを早いうちから始めるべきだったと思います。

今回で言うと、例えば新メンバーのオンボーディングも自分がやっていたのですが、開発に関するオンボーディングは自分から棚卸しできたかもしれないです。プロダクトオーナーじゃないと出来ない仕事以外はなるべく協力していきたいと思います。

プロダクトの方向性を示し続ける

インセプションデッキをチームで作った当時は概ねプロダクトの方向性を共有することが出来ましたが、作って終わりでは良くないことがわかりました。

マスター・センセイも話している通り、認識が揃わないことは自然なことで、時間経過でそれは発生し続けると思いました。プロダクトオーナーとしての仕事の1つにプロダクトの方向性を示すということがありますが、常にチームと対話すること等で方向性を 示し続ける も必要だと思いました。

現在ではプロトタイプを作ることで、まずプロダクトの最終形をざっくり作って認識を揃える(対話を促す)、新しいアイディアを試す、ということをしようと思ってます。